処理事業の体制

豊島住民は公害調停における基本姿勢として、以下の原則を掲げました。

  1. 二次公害を出さない
  2. 廃棄物の完全撤去
  3. 住民参加

これらの原則は、国の実態調査のあと、技術検討委員会の検討結果や<調停条項>に盛り込まれました。「二次公害を出さない」については、不法投棄現場から汚染物質が瀬戸内海に流出していたため、暫定的環境保全措置として遮水壁が設置されました。

不法投棄された廃棄物と汚染土壌、および汚染された地下水の処理事業は、技術検討委員会(委員長:永田勝也氏)が提唱する「共創」の考え方のもと、調停条項に基づいて事業が進められています。「共創」とは「関係主体が共に参加・協働し、新たな関係や価値観を創って問題を解決していこうという思想」のことです。

技術検討委員会は報告書(1998〜99)において、豊島廃棄物等対策事業は「わが国初の汚染地修復の国家的取り組み」と位置づけています。そして

「環境問題の今後の取り組みには、未然防止の思想が最優先されるべきであり、後世に負の遺産を残さないこと、『後世にツケを回してはならない』という考えを基本にしなければならない」

「豊島廃棄物等の問題はまさに、この『共創』の思想なくして解決しない」

と述べています。

また公害等調整委員会は、焼却・溶融方式によるこの無害化処理および副生成物の再生利用について「我が国が目指すべき循環型社会の21世紀に向けた展望を開くもの」と調停条項前文に記しています。

処理事業を適正に進めるため、その体制については次の合意がなされています。

専門家の関与

(県は専門家の判断に従うこと)

香川県は、技術検討委員会の検討結果に従い、専門家の指導・助言等のもと、環境汚染が発生しないよう十分に注意を払い、事業を行います。

技術検討委員会は調停成立後、技術委員会、管理委員会、フォローアップ委員会と名称を変更しつつ継続しています。

公開の原則

(関連情報はすべて公開することを原則とし、情報の共有を図る。)

技術検討委員会の基本方針に則り、関連情報等がインターネット上で公開されています。

 「豊島問題」 (香川県循環型社会推進課)

https://www.pref.kagawa.lg.jp/junkan/teshima/kfvn.html

住民参加

(住民の理解と協力のもとに事業を実施すること。豊島廃棄物処理協議会を設けること。)

廃棄物と汚染土壌の搬出・輸送、および地下水等の浄化、豊島内施設の設置・運営および廃棄物等の焼却・溶融処理の実施は、住民たちの理解と協力の下に行います。

事業実施について協議するため、住民たちの代表者と香川県の代表者による豊島廃棄物処理協議会を設置し年2回開催します。また処理協議会を補う目的で、月1回豊島にて、県の担当職員と豊島住民の事務連絡会が行われています。

第1回の豊島産業廃棄物処理協議会冒頭あいさつにおいて、元調停委員であった南博方会長(法学者)は、

「この協議会は全国で例がない。官民が共同し、しかも対等な立場にたって、豊島の環境再生と創造にむけ、お互いに知恵を出し、実施にむけ協議する。わが国が目指す21世紀の循環型社会の形成にむけた先駆けとなることを強く念願する」

と語りました。

「豊島廃棄物等処理事業パンフレット」

豊島廃棄物等処理事業 冊子

https://www.pref.kagawa.lg.jp/haitai/teshima/project/kfvn.html

https://www.pref.kagawa.lg.jp/haitai/teshima/project/pdf.html